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遥かなるグリーゼ 10「未知のスターハウス」

総合的宇宙団地環境整備事業により団地敷地から出て惑星の地表を探索することが多くなってきた。将来、他の団地が着陸する地点の選定も兼ねるため、団地敷地から50km離れた地点に行くこともしばしばである。公団のサービスカーで道なき道をひた走る。サービスカーには一度通った地形を自動で地図にする機能が備わっており、誰でも迷うことなく目的地に着けるのである。

ある日、渓谷の上に奇妙な地形が見えた。結果的には地形ではなく人工物であったのであるが、人類史における大発見となった。

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 惑星グリーゼに存在したスターハウス

それを見たとき、私はあっけにとれれてしまい数十秒硬直していた。この惑星には我々以外の団地はまだ存在しないはずである。なぜ、スターハウスがあるのか?理解を超えた現実に頭が追いついてこない。遠目にみてスターハウスはかなり古いとみえる。まるで遺跡のようであった。
 団地の管理事務所に連絡して調査することにする。地球の宇宙住宅公団本所に写真を転送することも決まった。サービスカーから降りて興奮気味にスターハウスに接近する。人は住んでいないようである。まるで退去済みの住棟のように人気がなく不気味であった。冷静に考えれば住人がいたらそっちの方が一大事である。
 窓ガラスがあったものと思われるが、風化で失われていた。ベランダ側から内部に侵入するとコンクリと思われる壁がむき出しになっており、内装は失われていた。ステンレスの流しのような台の下から金属かセラミックのケースに入れられた手帳が出てきた。
 手帳には見たことのない文字が書かれており、早速管理事務所経由で本所に転送してもらう。本所であれば未知の文字の解読ができるはずである。

未知のスターハウスの調査は一旦終わる。倒壊の恐れがあるためだ。興奮気味にサービスカーを運転して団地の管理事務所に帰る。帰ると管理主任や主査達が出迎えてくれた。気を落ち着かせるためか熱いお茶が用意してあり、一服入れてこれまでに見たことを皆に説明した。

なお、本所からの指示により未知のスターハウスの件は住人達にはまだ伝えないことになった。パニックになることを恐れてのことである。採取した手帳の解読が終われば謎が解けると思わて待ち遠しくもあり、何か不安で不気味な気持ちであった。
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